山田俊雄『日本のことばと古辞書』三省堂、2003年
山田俊雄は日本語研究者であったが、「「みすず」からの、たっての依頼に應じて拙文を綴ることにしたが、もともと私は、漢文の専門家でもないし、まして漢文訓読を専攻してもゐないので、全くをこがましい話である」(172頁)と書いていた。欧米文脈にはない謙遜が気になるのは最近読んだ本の影響かも知れない。
漢文訓讀の入門ーー江戸時代の入門書の紹介をかねてーー(『荻生徂徠全集』月報1〜7、1973年〜1983年)
古代日本語を研究するには、漢文を扱うことになるので、句讀、訓讀は必須の知識である。
山田俊雄氏が取り上げたのは、玄樹桂庵の『家法倭點』と貝原益軒の『訓點新例』、それに太宰春臺の『倭讀要領』であった。さすがに『荻生徂徠全集』の月報なので一般読者など容赦してくれない。貝原益軒は専門家ではないとし、博学は認めるも、「假名遣ノアヤマリ」の項を取り上げて、半ば近くは誤っているとしなければならないと指摘する(P204)。素人はどれが違うのか分からないのでこういう指摘は困る。
注)確認した言葉
虚假 こけ 173
服虔 ふくけん 181
箋 せん 182
黄吻 こうふん →黄口 193
博洽 はっこう 194
勝嶌喜六郎 194
栂井道敏 とがのい みちとし 195
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