『続文字講話』(2007)で最終講義を思い出す

読書時間

白川静『続文字講話』平凡社、2007年

若松英輔氏が白川静の講義の仕方がどのようだったのかとTwitterで呟いたのがきっかけで、私も記憶が不確かになっていたこともあり、本棚の奥を探してみました。そこには「最終講義」と帯にありました。この講義は2005年7月10日に行われました。仕事以外で京都に行くことはありませんでしたが、初めて行ってみることにしました。この最終講義をどのようにして知ったのかも今では分かりません。Twitterでないことだけは確かです。

本書は甲骨文、金文Ⅰ、金文Ⅱ、金文Ⅲの4話からなります。私が聴いたのは金文Ⅲの最終講義にあたります。京都国際会議場の大ホールでした。

ここでは、第一話の甲骨文のエッセンスをメモしておきます。

殷の甲骨文から生活や意識を見ていく白川静が、殷王朝とわが国と非常な親縁関係があると箇条書きしていました。

第一 日本の古代も太占(ふとまに)という、甲骨による占いのやり方をしていました。

第二 殷王朝は子安貝を非常に貴重な宝としていました。

第三 継統法、イトコ婚のような形の近親婚で、継統法が組織されていたのではないかといいます。

第四 職能的部族として全体が組織されてゆくというのも、たぶん日本の古代王朝のやり方と同じだと考えています。

その他、文身・入墨や汎神論的な世界観もあげられてました。

近親婚といえ例えば、天武天皇は兄の天智天皇の皇女四人を后としていたことをあげていました。明らかに意図的な血の繋がりを作って皇統を伝えようとしたのでしょう。

注)7:30・2020/07/05

「最近、大学で授業をしつつ、白川静などはどんな授業をしていたのだろうと思うことがある。『孔子伝』そのままでは、とても講義にはならない。孔子の出自をめぐる記録はほとんど残っていないと書き、すぐに、孔子は巫者の血を継ぐ者だったと語るのである。井筒俊彦と語ったら意気投合しただろう。」

x.com

コメント

タイトルとURLをコピーしました