丸山裕美子『正倉院文書の世界 よみがえる天平の時代』中公新書、2010年
奈良国立博物館で正倉院文書を見たことがありました。戸籍を見ると、強い中央集権国家のイメージを受けました。だから、大津透氏の『律令国家と隋唐文明』(岩波新書、2020年)を読んだとき、中央集権の内実というものを考えさせられました。
あとがきを読んだら、丸山裕美子氏が『奈良の都』(中公文庫、2004年新装版)の解説を書いたとありました。どうりで丸山裕美子氏の名前に見覚えがあるわけでした。
正倉院文書として正税帳等がなぜ残ったの分かりました。
正倉院文書として「徴税台帳である計帳、地方の財政決算報告書である正税帳など、いろいろな種類の公文書ーーこれらは一般に「律令公文(りつりようくもん)」と称するーーが知られている。けれどもこれらの律令公文は、実は反故文書であって、不要になった後、リサイクル利用され、ウラに写経所の文書が書かれたことによって残ったものなのである」(P3)。
律令公文が残ったわけではなく、東大寺写経所の文書が伝存したといいます。紙背文書でした。
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