『孤客(ミザントロオプ)』(1950)

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モリエール、辰野隆訳『孤客(ミザントロオプ)もしくは、怒りっぽい恋人』岩波文庫、1950年、1980年第25刷

書誌情報

第22刷改版に際し、かなづかい等の表記を現代表記に改めている。

LE MISANTHROPE OU L’ATRABILAIRE AMOUREUX 1666 Molière

すでに、関口存男訳で『人間嫌い』(岩波文庫、1928年)は出ていた。

辰野隆が同じ岩波文庫で題名を変えて翻訳した理由はよく分からない。序に書いてあることを引用してみる。

「今まで一般に知られている『人間嫌い』(Le Misanthrope)という直訳をそのまま襲おうと思ったが、どうも、その訳名には親しめなかったので、厭世家とか正義派とか、あるいは寂しき人とかやってみたが、なんとなく、しっくりしない。この戯曲の別名L’Atrabilaire amoureux(怒りっぽい恋人)の良い訳語はないかといろいろ考えてみたが、うまい訳が見当たらない。結局、孤客としたわけである」(P3)。

 

「孤客」とした理由は書いていない。「孤客」(こかく)は独り旅をする人とweblioにあったが、出典元はWikipediaだった。作品名「孤客」(ミザントロオプ)じゃ説明になっていない。

 

手元の『ロワイヤル仏和中辞典』第2版で引くと

un misanthropeは人間嫌いの人、厭世的な人とある。

この訳名は忘れていたが、ミザントロオプの方はどうにか記憶に残っていた。しかし、何でこんな本を買っていたのか分からないとしか言いようがない。喜劇を欲していたのかなあ。

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