石原義正『菓匠歳時記』京都新聞出版センター、2005年
本書は箱付の本で、ハードカバーである。ソフトカバーのものも本屋で見かけた記憶がある。俵屋吉富の京菓子資料館で購入した。
季節の京菓子をカラーで紹介したものと、京菓子に関する随筆「京菓子つれづれ」や菓子店を紹介した「京の菓子・諸国の菓子」がある。茶の文化と相まって菓子も文化のレベルとなった。余生を楽しむには室礼を含め「生活を美しくして、それに執着することである」(吉田健一)。
時々思い出しては季節の菓子と器の組合せを眺めている。本書では天皇に献上された「上菓子=おまん屋」と庶民の味として育った「もち屋」や「駄菓子屋」と区分していた。
私の感覚では、お茶席などで使う「上菓子司」という和菓子屋と普段使いの「おまん屋さん」という和菓子屋の区分だ。亀末廣や松屋常盤は「上菓子司」で出町ふたばで買う豆大福は「おまん屋さん」のお茶うけだ。
上生菓子は基本的に予約で作るので、なかなか食べられないけれど、京都に行くときは女将が松寿軒の上生菓子を手配してくれたりする。
東京では、洋菓子屋と区別する和菓子屋という言い方しかない。駄菓子屋はほとんどなくなった。普段は京都でいう「もち屋」のぢまん草餅の草餅や埼玉屋小梅の御手洗団子などを食べている。埼玉屋小梅ではお赤飯も買う。玉ノ井の梅林堂で月見団子や粟餅を買うのがせいぜいだ。言問団子などは「おまん屋さん」だろうと思っているうちにいい値段になって食べられなくなった。その点で柴又の高木屋老舗の草団子の折詰はお得な感じがするし、船橋屋のくず餅は土産にちょうど良い。たまには虎屋菓寮へ行ってみようか。お持たせばかりでなく、自分で楽しむために。
#京都
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