佐藤雄基『御成敗式目 鎌倉武士の法と生活』中公新書、2023年
中世のこの国のかたちは六十六国二島からなる。古代律令制の緩やかな解体が続き、公領と荘園が半々を占めるようになるという12世紀の中世荘園制のもと、鎌倉幕府は国ごとに守護を配して、公領や荘園には地頭を配した。しかし、国には国司がいて国衙という国の役所があった。北条時政もかつて伊豆国の在庁官人であったという。鎌倉幕府ができると京都守護や伊豆国・駿河国の守護を命じられている。天皇家や大貴族が旧来の政権をもつなか、東国に武士の政権が誕生したのである。複雑な支配のかたちは中世法制史から解明されてきた。
このような国のかたちをどのように理解するかをめぐり「権門体制論」と「東国国家論」が対立している。著書はどういう立場をとるのか考えながら本を読んでいる。荘園制度を伊藤俊一氏の『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』(中公新書、2021年)で学んだつもりになっていたけれども、領家側の支配の事情はわかったが、なぜ守護・地頭が領家から訴えられる事態が生じているのか、鎌倉幕府の御家人に対する支配力の内実について理解を深めたいと思っている。
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