見込みの翡翠

断片記憶

法然院の講堂で毎年個展を開く雨月陶齋先生と知り合ったのはいつの頃だったか、まだ、先生の贔屓のAが舞妓さんだった頃だと思う。舞妓さんとご飯食べしたあとにお茶屋で挨拶したのが最初だった。

今年の紅葉は例年になく早かったので、途中の安楽寺の紅葉も見頃は過ぎていた。中居さんから私が来ることは聞いていたらしく、だいたい私の予算で買える一点物を用意しているのだった。先生は職人ではないのにいくつも作る。絵を描くのが好きなので、常にデッサンして夜も描いているという。ここは書き過ぎたとか笑いながら話してくれる。個展は反省会でもある。

見込みに翡翠がいるけど、魚は器の外側を泳いでいる。翡翠と魚は住む世界が異なるのだろうか。可哀想に翡翠は永遠に魚にありつけない。

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