瀬戸内寂聴『瀬戸内寂聴紀行文集1 京のみち』平凡社ライブラリー、2007年
「解説ー元気という名の病気」を横尾忠則氏が書いている。「瀬戸内さんは自分で感動したものに触れた時は誰かにその気持ちを伝えて感動を共有したいのである。寂庵から望む東山に満月が出ただけで「今満月を見てる? 雲がたなびいていて王朝時代の月みたいで綺麗でしょう」と電話が掛かってきても東京は曇っていて月の影さえ見えない。東山にかかった月は日本中、いや世界の果てから同時に見えるとでも思っていらっしゃる、そんなひとりよがりのところが少女のようで大変魅力的なのである」。
紀行文は「昭和四十一年の春、京都へ引越し、京都で暮らすことになった」と始まる。すでに昭和二十三年から二十六年にかけて学生の時分に京都に住んだことがあった。京都暮らしは初めてではない。エッセイの中に横尾忠則氏のいうようなことは出てこない(笑)。軽い読み物である。
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