『天皇の戦争宝庫』(2017)

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井上亮『天皇の戦争宝庫ー知られざる皇居の靖国「御府」』ちくま新書、2017年

磯田道史氏が毎日新聞に書評(2017年9月3日)を書いていたので読みたくなった。「御府」は知らなかった。何しろ公開してないのだから。

「御府についてその来歴を詳しく論じたものはまったくない。その文献・資料の少なさは、「忘れられた」「知られざる」というよりも、「消去された」歴史といえる。御府は皇居に残された最後の禁忌である」(P012)。

御府(ぎょふ)は「日本が近代以降に行った戦争の記念品・戦利品を収蔵した倉庫であり、戦没兵士の写真・名簿などを納め慰霊・顕彰する施設でもあった」(P009)。

御府(ぎょふ)は 5つ造られた(P009-010)。

振天府(しんてんふ)日清戦争、1896年10月

懐遠府(かいえんふ)北清事変、1901年10月

建安府(けんあんふ)日露戦争、1910年4月

惇明府(じゅんめいふ)第一次大戦・シベリア出兵、1918年5月

顕忠府(けんちゅうふ)済南・満州・上海事変、日中・太平洋戦争、1936年12月

御府は1946年に廃止された。

「筆者が取材をもとに作成した「図1 御府のエリア図」が、現状の御府の建物配置を正確に表した図の初出であろう」(P009)。

写真も48枚あり、航空写真で御府を撮ったもの(P191)などもあり、こんなに皇室のタブーを公開して良いのだろうかと思うほどだった。

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