冬の高野山

断片記憶

竹内信夫『空海入門 弘仁のモダニスト』ちくま学芸文庫、2016年

竹内信夫が冬の高野山で『空海入門』を書いた。空海が愛した「高野(たかの)」という「平原の幽地」を実感するため、敢えて空海と同じく、冬の高野山に住むことにしたのである。参拝者としての見聞や高野山の歴史を解説する本からでは得られない実感を求めて6ヶ月間過ごして、空海について語り始める。

『vertual trip 高野山』を観ていると、雪の高野山が少し味わえる。

私も最初に高野山を訪れたのは、暮れも押し迫った日であった。高野山霊宝館も冬休みに入っていた。雪が散らつく寒さのなか、西大門までバスで行ってしまった。バスの便が少ないので、ここまで来てしまうと、帰りは歩きになる。大塔伽藍ならば、歩く先々に見所がある。奥の院まで、何処かでバスに乗ることにはなるが、バス停で待つ時間はできるだけ短くしたい。歩いてもそうかからない。西大門から奥の院まで歩いても1時間だ。

大塔伽藍まで歩いて、根本大塔に行く。内陣は堂本印象だったのは、『vertual trip 高野山』で書いた通りだ。奥の院はバスに乗った。参道にある供養塔はこの宗派を超えた高野山のあり方を表す。朱印所より先はカメラの禁止となる廟への道となる。弘法大師信仰の場所である。

そんな冬の高野山を想いながら、竹内信夫の『空海入門 弘仁のモダニスト』を読む。以前読んだhont版の新書を文庫化するにあたり大幅に加筆したという。電子版と紙では印象が違う気がするが、詳細は忘れているので、鞄に入れて時々読み返す。

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