ひととき 2017年3月号の千宗室さんの京都(みやこ)の路地(こみち)まわり道は「戻れない場所」というタイトルだった。「もう一度行こうとしてもどうしても叶わない場所がある。時空のゆがみに偶然に迷い込んでしまったという、そんな不思議な経験をしたことを書く」と家元がいう。今回はときどき家元が不思議な経験を書くシリーズだ。
「東陣辺り」だという。その路地を訪れて、自転車に跨ったまま、路面を蹴って奥に入っていった。しかし、突然ヒヨドリの甲高い鳴き声が聞こえてからパニックになって路地から飛び出したという。あとで地図をみても路地は記されていない。「この町には白昼夢という名の番地の地域があるのだろうか」。
コメント