104 「花の家」千宗室

ひととき

ひととき 2018年6月号の千宗室さんの京都(みやこ)の路地(こみち)まわり道は「花の家」というタイトルでした。ドンツキと思われた小道にあった山吹の花の色を愛でる家元が、枝を鉄柵の間に伸ばす姿を好ましく思って、覗こうとした家は、しかし、山法師に遮られて全体が見通せません。折から雨も降り出し、雨脚が地面から立ち上ってきます。振り返ると驟雨の中に入口を閉ざす路地があったのでした。

家元はちまちま剪定された植木が苦手なようです。見ていると息が詰まるといいます。出会いの瞬間の記憶がこのような物語を書かせたのでしょうか。

そういえば、今年は小泉淳作の「山法師」の版画を飾るのを忘れていました。山吹も終わり、ビョウヤナギの黄色い花が咲き乱れ、色づき始めた紫陽花が目立つようになりました。

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