朧谷壽著『藤原道長』(ミネルバ日本評伝選、2007年)を読む。
当時の日記に藤原実資の『小右記』、藤原道長の『御堂関白記』、藤原行成の『権記』があり、『御堂関白記』は自筆本が14巻伝わっている(孫の師実の古写本12巻を含め国宝)。なお、『御堂関白記』と『権記』は倉本一宏氏の現代語訳(講談社学術文庫)がある。
朧谷氏の言うとおり、「新出史料があるわけではなく、既存の史料の解釈にも限界がある」としながらも、道長の足跡を辿って、土御門第跡や法性寺跡の碑など地元の京都を歩いているし、「金峯山詣で」も行程を辿ったことを踏まえた簡潔な説明でありながら、観光ガイド的な情報もいれてあり退屈しない。
最後は、大峯山寺まで登ってみせて(「ついに大峯山寺参詣を実現」)、のぞきも体験して大変だったそうな。
詳細な目次、参考文献、藤原道長略年譜、人名索引、事項索引と整っており、申し分のないつくりだ。
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