重田園江『ホモ・エコノミクス――「利己的人間」の思想史』ちくま新書、2022年
書誌情報
参考文献のみ。
筑摩書房の増田健史氏が担当したようだ。著者3冊目という。すべてちくま新書である。
重田(おもた)氏が自身の文章を使った入試問題にツッコミを入れた事件があって、フーコーについて書いたものを読もうかと思ったが、新書が出ていたのでまずはこれにする。
本書は「自己利益の主体」が扱われる。経済学の前提が問われているのだ。最近読んだバーリンの『マキアヴェッリの独創性 他三篇』(岩波文庫、2022年)でも、人生の理想が問われていた。一元主義は重苦しく、単なる相対主義でない多元的な世界が求められる。経済的に成功した人はしかし、賞賛されることはない。アイン・ランドが生きていればイノベーションにより成功したビル・ゲイツを英雄と言っただろうと思う(『利己主義という気概』(ビジネス社、2008年))。バーリンが多元主義を見出したマキアヴェッリも共和制一元論というのが皮肉である。
「ホモ・エコノミクスは「合理的経済人」とも呼ばれ、広い意味では「自分の経済的・金銭的な利益や利得を第一に考えて行動する人」を意味している」(p.16)。
この経済学の前提としての価値観に違和感を感じるのは、仮説の話が、当然と受け取られているからだろう。ここにもプラトン以来の一元論の思考がある。

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