『アリストテレスの哲学』(2023)

読書時間
中畑正志『アリストテレスの哲学』岩波新書、2023年
寄り道であることはわかっている。読んでもわからないこともわかっている。ただ、万学の祖であるアリストテレスを素通りてし中世を読むのも変なのである。著者は現代の哲学としてアリストテレスを扱っているので、主として近代以降の批判を取り上げている。
Ⅳ なぜ「心」ではなく「魂」なのか
アリストテレスの生きることの原理としての「魂」(psychē)の議論はデカルトによって批判され、心の議論となった。デカルトの第二省察の議論は読み直す必要があると感じた。
デカルトの検討の「その主要なターゲットになったのは、栄養摂取、歩行(運動)、感覚そして思考の各能力から構成される魂の概念、つまりアリストテレスによる魂の第二の規定を源泉とした概念だった(「第二省察」AT Ⅱ 26-27)」(p.148)。
デカルトに関しては、斎藤慶典氏の『デカルト 「われ思う」のは誰か』(講談社学術文庫、2022年)でも確認したかったが、見当たらない。最近はそんなことが多い。これでは進みようがない。
概論を読む難しさは、こうした展開を知らないと素通りしてしまうことにある。この本ではアリストテレス略年譜があるくらいでアリストテレスの生涯の記述は省かれている。あくまでも現代的なテーマでアリストテレスを読むことが書かれているために、時空の隔たりに関して補足が余りされていない。他の本で補っておきたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました