『知の編集工学』(2001)

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松岡正剛『知の編集工学 情報は、ひとりでいられない』朝日文庫、2001年、2019年第6

書誌情報

1996年に朝日新聞社で刊行したものを文庫化した。山口昌男氏が解説している。

少し古くなったが、松岡正剛氏の方法論なので、ここで確認しておきたい。

飛田努著『経営管理システムをデザインするー中小企業における管理会計実践の分析』(中央経済社、2021年)を読むと、序章の「マネジメント・コントロール・システムのデザイン」のなかで、松岡正剛氏の「編集構造」という考え方が取り入れられていた。MCSの情報構造をデザインする前にそのモデルの「編集構造」を考えることが重要になるというわけだ。管理会計学の学術書に松岡正剛氏の一般書が引用されていたのには何らかのヒントがあるに違いない。

「私たちのコミュニケーションにおいては、情報交換の構造が先にあるのではなく、その場に生じている先行的な編集構造が先にあるわけなのである」(p.128)。

多くのMCSが役に立たないのは情報交換構造から話を始めているからである。前提となる当事者間のコミュニケーションギャップを生じさせる情報編集構造を考えたモデルでなかったからと思い当った。そうは言っても実証的に研究することは容易ではないと考えられる。

松岡正剛氏の本に興味が湧いたので、早速取り寄せてみた。

本書の構成から見ていく。

編集の入口

第一章 ゲームの愉しみ

第二章 脳という編集装置

第三章 情報社会と編集技法

編集の出口

第四章 編集の冒険

第五章 複雑な時代を編集する

第六章 方法の将来

松岡正剛氏の本は読む分には面白いのだが、まとめるとなるとトピックが多すぎて難しい。山口昌男氏の解説を読むと「解説のために二度と読んだ」(p.343)とある。

「この書物は文化そのものの過程(プロセス)と重なっている編集工学の本であると共に、今日最も包括的な「インターネット」の遊泳法の本でもあり、同時に松岡氏個人の自伝の役割を兼ねているという三層から成っている」(同上)と要約されており、予想通りである。

ここでは、「編集構造」にのみ着目したいのであるが、そもそも「編集」の広い議論があってそうもいかないらしい。

私も二度読むことにしょう。

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