高取正男、橋本峰雄『宗教以前』ちくま学芸文庫、2010年
書誌情報
NHKの「宗教の時間」で「民俗から見た日本人の宗教意識」(1967年5月から1968年3月放送)のテキストを文庫化した。
この歳になって、宗教と思想が自分の中で区分できていないことが気になりだした。今まではどうしていたのか。何かはっきりしない。考えてこなかったかもしれないし、忘れたのかもしれない。記憶にないので分からないとしか言えない。
自分の用語集の輪郭が溶けてしまったのか。柳田國男を読むと、その話がつい最近まであったとはとても思えないほど遠い世界のような気がする。宗教と習俗を区分しないと議論が進まない。
「仏教の施餓鬼のための盂蘭盆会は、この国先祖たちの暮らしの中で、
爺な、婆な、
この火のあかりで
来とーんね、
来とんね。(秋田県象潟町)
というような各地の魂迎えの祭りに変わった。そして今日、お盆は阿波踊りや京都の大文字の送り火のような観光ショウに変わってゆきつつあるように見える。日本人は一体どのような宗教的民俗の中に生き死にを重ねてきて、それは今日どのように変わってゆかねばならないのか。いわゆる前近代と近代ないし現代とではそれにどのような持続と断絶とがあるのだろうか」(P10)。
阿波踊りはいざ知らず、大文字の送り火に携わる人々は宗教的な伝統の中にいるし、変わることは考えにくい。
通勤電車の中で読むけど、まとめるのが難しいタイプ(放送もの)の本なので、読み流してしまおうか。
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