『宗教以前』(2010)その2

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高取正男、橋本峰雄『宗教以前』ちくま学芸文庫、2010年

 

タイトルの「宗教以前」の意味が序章に書いてある。

 

「本書は、以上略説したような意味における日本の民俗ーー常民の生活文化を通して、日本人の伝統的な宗教意識のありかたの諸相をさぐり、あわせてそれの今日的な意義を考えようとする一つの試みである。タイトルを「宗教以前」としたが、この「以前」にはいくつかの意味をおわせている。まず、基本的に、国民文化「以前」の民族文化のなかの宗教意識を問題にする、という意味での「以前」である。したがって、原則的に、地方の民間信仰、常民の宗教民俗の分析から出発するのであって、中央の支配層インテリの文字に書かれた宗教意識からではない、という意味での「以前」である。前者のほうから後者のほ うへ関係をつけようとしている。また、「宗教以前」というのは、いわゆる創唱宗教、仏教やキリスト教などのような教祖と教団とをもつ後次の、ないしは高次の宗教「以前」の 宗教、近代的個人以前の共同体の宗教を問題にするという意味でもある。わが国では当然いわゆる原始神道、そしてそれと分かちがたく習合し融合した仏教が注目されることになる。さらに、「宗教以前」は、いわゆる近代の宗教「以前」、前近代の宗教を意味していることでもなければならない。近代は、一方では国家主義の時代であり、他方では科学主義の時代である。近代の大きな特徴にこの二つの点を考えるとすれば、「宗教以前」は、宗教と国家、宗教と科学、という思想史の伝統的な問題領域のなかに日本の民族宗教をすえてみる作業をも要求することになるはずである」(P27)。

 

先に書いたように、引用が難しい文章である。

以下が分析の対象であることが分かる。

①民間信仰・常民の宗教民俗

②原始神道・神仏習合

③宗教と国家・宗教と科学の思想史上のあり方

 

ここで、「常民」とは民俗的伝統を担う人としている。folkとかVolkの訳語としてつくられた「民俗学」のことばである。

 

民俗の事例が取り上げられているが、どう受け止めるのかは難しい。明日少し考えてみることにする。

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