『日本の歴史6 武士の登場』(2004)

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竹内理三『日本の歴史6 武士の登場』中公文庫、1973年、2012年改版3刷

久保田和彦氏の『六波羅探題研究の軌跡』(文学通信、2020年)のあとがきに竹内理三が出てきたのも何かの縁ということで、読み直すことにする。

以前この本を読んだときは、解説の入間田宣夫氏が「戦後歴史学の古典的見解」を指摘していた箇所に標を付けて読んだのだけれども、それほど理解できていなかった。今度、改めて読んだのだが、さすがに首を傾げざるを得ない見解だと思う。私の大学までの知識はその「戦後歴史学の古典的見解」を持った人々により受けたもののようだ。

入間田宣夫氏の指摘を総括する文章をあげる。

「中世的世界の形成が「外部世界の影響なしにまったく自生的に行われた」とか、「いわば純粋培養のような形で社会の根本変革が」行われたことは、「世界史上にもその類をみない」とか、今となっては先入観としか言いようがない認識を、その後における研究の進展を踏まえて、根本的に改める取り組みが推進されなければなかない」(P544)。

ここで「中世的世界」の形成が何なのかが正面から取り上げられることはないが、研究の目標が中世的世界の解明にあることが分かったので、今後の読書の指針になった。その意味で、分かりやすい「古典学説」は考える基礎となることに納得した。

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