早島大佑『徳政令 なぜ借金は返さなければならないのか』講談社現代新書、2018年
高校で徳政令を習ったときは何故このような不合理なことが鎌倉・室町時代に行われたのか理解できなかった。そんな徳政令についての本を手にした。戦国法の本を読んで中世と戦国を比較したくなったからでもある。
しかし、私の考えは間違っていた。
「かつて日本の歴史上、借金を帳消しにすることが当然とされた時代が存在した。世紀で言えば、11世紀から16世紀にかけての600年間、歴史学上で中世と区分された時代である」。中世と戦国は比較してはいけなかった。室町と戦国時代を比較するというべきだった(^_^;)
早島大佑氏は徳政観念の変遷を述べるところから始める。
①古代の為政者の政策理念
②中世前期、鎌倉幕府による、御家人救済政策としての債務破棄=徳政令
③中世後期、徳政一揆が主体となって主張した債務破棄としての徳政要求
④16世紀までに好ましくないものとしての徳政観
④では、それまで善玉として認識されていた徳政が、悪玉とみなされたのである。
本書の目的について早島大佑氏は、「15世紀から16世紀にかけて、すなわち室町・戦国時代から近世の成立に至る徳政の200年の歴史を追うことで、日本の歴史上、借金は返さなければならないという意識を共有する社会がいかに形成されてゆき、人間が内なる文明化を果たしたのか、その過程を明らかにすることを目的としている」(P32)。
ヒントは
①徳政令・徳政一揆の内実が時代とともに変化していたこと
②人々が嫌っていたのは、兵粮料の代わりに出された徳政令だったこと
面白くなったところで、時間になった。
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