『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』(2021)

Goinkyodo通信 読書時間
薬袋善郎『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』研究社、2021年
以前から薬袋善郎氏の本は読んできたので、方法論に変わりはない。parsingを行うための、懇切丁寧な「教科書兼ワークブック」なので471頁もある。今までは『英語リーディング教本』(研究社、2000年)+『英語教本ドリル』(研究社、2014年)がそれに当たるのだろう。
今度の『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』は研究社の「薬袋善郎先生の書籍のフローチャート」の「構文読解を学ぶ」の最初に位置付けられている。私が読んできた『英語リーディング教本』(研究社、2000年)は2番目となりエッセンスを再確認にする位置付け変わった。
parsingは構文解析であるが、「品詞の重層構造」や「活用の重層構造」を処理するために特別な工夫が必要であり、私は薬袋善郎氏の流儀に落ち着いた。構文解析の流派は色々とあり北村一真氏の『英文解体新書』(研究社、2019年)のやり方も参考になった。
はじめに、あとがき、そしてコラムを13個読み、扉のpragmatismを構文解析してみて、薬袋善郎氏の主張は全く変わってないことがわかり安心した。文法書ではないので、Frame of Referenceを覚えて実際に活用できて初めて力となる。品詞、働き、活用の相互関係を理解するのが英語の構文を理解することと割り切っている。
コラム9(259-262頁)を読むと、山崎貞『新々英文解釈研究』、伊藤和夫『英文解釈教室』、佐々木高政『和文英訳の修業』を批判している。特に英語の仕組みを知らないで暗記を薦める修業はムダと切り捨てている。私もこの本を持っているが、暗唱するのはやめている。自分が使う言葉でなければ虚しいからである。シュリーマンのように自分で書いた言葉であれば暗唱してもよいと思う。
本書は積み上げ型の教科書なので、文法事項を一通り理解した後でないと躓きやすいかもしれない。ゼロからの積み上げが割合い難しいのは他の分野でも経験していることだ。教科書は簡単なものではない。その点で、確認質問は「ルールそのものを確認する質問」が415問、「実際の英文中で確認する質問」が727問あり、著者の徹底ぶりが伺える。久しぶりに復習を兼ねて読むことにする。後買い先読みなので本がどんどん積み上がるのは仕方がない。その分、山貞などを本箱に仕舞い込むことができるのは本書のお陰である。
注)高校1の夏に『和文英訳の修業』の500題の暗記を夏休みの課題に出されて苦労して覚えたが直ぐに忘れた薬袋善郎氏は、高校2年になる前の春休みに「英語の品詞と働きと活用の関係」を悟り、高校2年の夏休みに自主的に『和文英訳の修業』の暗記に取り組み、細かくバラして暗記したとtwitter で呟いていた。このリベンジの話は本には書いていなかった。英語の仕組みを理解した上での『和文英訳の修業』の暗唱は意味があるということか。仕舞い込むのはまだ早いようだ。

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