NHKスペシャル取材班『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』NHK出版新書、2025年、2026年第15刷
本書の読む方針は、購入図書に書いた通り、参考文献と研究者を知るためである。ジャーナリストは鼻が効くから最新の研究を紹介してくれる。
第1章 邪馬台国と古代中国
本書は邪馬台国九州説と大和説を公平に取り上げている。
この章で知りたくなったのは以下の二人である。
七田忠昭(佐賀県教育委員会吉野ヶ里遺跡調査指導委員長)
中塚武(名古屋大学大学院環境学研究科(古気候学グループ)教授)
佐賀県の工業団地誘致が吉野ヶ里遺跡の発掘を促進させ、工業団地計画の撤回に繋がるとは皮肉な結果とも言える。当時は掘り起こして調査が済めば埋め戻されるのが当たり前だった。七田忠志、七田忠昭の親子二代の吉野ヶ里遺跡研究の話がいい。
「謎のエリア」から出土した「石棺墓」の蓋の線刻の分析では、北條芳隆東海大学教授と高田裕行国立天文台専門研究職員の「星」と見立てる説が面白い。中園聡鹿児島国際大学教授(情報考古学研究会が石棺の3Dデータを可視化したことで分析が進んだという。
「酸素同位体比年輪年代法」は『気候適応の日本史ーー人新世をのりこえる視点』(中塚武、吉川弘文館、2022年)を読んでみたくなる。これまでの年輪年代法は針葉樹である杉と檜しか適用できなかった。中塚武教授は過去2600年分の木材の年輪に含まれるセルロースの酸素同位体比をデータ化したので、30年の年輪があれば1年単位で推定できるという。
過去2600年間の日本の気候変動を読み解くのは面白いそうだ。
第2章 最新研究で迫る邪馬台国連合
倭国の乱(147年ころ)の原因は不明だが、中塚武教授の気候変動の説明は示唆的だ。洪水や干ばつなどの異常気象が食糧危機をもたらしたと読み解ける。奈良の弥生時代の遺跡も洪水の砂の下にあったと知ったのは近藤義郎『前方後円墳の時代』(岩波文庫、2020年)を読んだ時だった。

『新・古代史』(2025)
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