『近世史を学ぶための古文書「候文」入門』(2023)

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佐藤孝之監修、佐藤孝之・宮原一郎・天野清文『近世史を学ぶための古文書「候文」入門』吉川弘文館、2023年
書誌情報
「本書は、江戸時代の古文書に現れるさまざまな語彙を、文語によって分類し、その語彙の読み方や現代語訳などを解説した近世文書読解のための入門書である」(凡例 p.6)。
見出し語は原則常用漢字、読み仮名は文語の旧仮名遣いを現代仮名遣いに直していることに注意が必要である。見出し索引あり。
くずし字から古文書に入ってみたが、古文の読み方がわからないとくずし字の推測も難しい。少なくとも活字本で古文書を読めるだけの知識を持っておく必要があると思った。高校の古典文法は、平安時代が中心で、江戸時代はそれほど力を入れていないので、遠回りだが、そこに戻るかと、参考書マニアの血が騒いだが、丸善で参考書コーナーへ行く前に歴史書コーナーに行ったのが正解で、今までに無い本を見つけた次第である。
見出し語に対して文例が豊富なため、今までいい加減に読んできたことがわかった。独学の難しいところは、正誤の判定が自分ではつけにくいことにある。ことに古文書は翻刻があれば別だが、くずし字だけでは厳しい。さっさと古文書講座に通いたいところだが、そのためには何かを捨てなければならず、プロフェッションの時間を削って遊びに回するは本末転倒である。
古文書読解の道筋をつけるのが目的であるので、方法が合っていれば、いつかは目的地に到達できると信じたい。
迚も(とても)という字は (p.111、p.181)、流石に読めなかったが、本書によって知識を得たので、探索の候補が広がった気がする。
例文に出てくる等・抔(など)は振り仮名がなかったので、どう読むのか最初はわからなかったが、副助詞(p.188)で「など」の読みが確定した。「我等」「彼等」は「われら」「かれら」と読む。接尾語「等」(p.230)は「ら」と読んで人を表す名詞や代名詞に付いて、「〜たち」などと複数であることを表す。読み方がわからないときは「とう」と読んできたのは、どうも「など」と読んだ方が正解だったようだ。こういう点も初心者にはわからないのである。

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