『京都異界紀行』(2019)

読書時間

西川照子『京都異界紀行』講談社現代新書、2019年

もう、京都本は買わないと書いてから、どれだけ買ったことだろう。今度も、本屋に平積みしてあったので、買ってしまった。西川照子氏の文章を読むのは久しぶりだ。『幻の、京都』(光村推古院、2014年)を読んだときは、梅原猛の『京都発見』シリーズでは書かれなかったことが書いてあった。連載当時は脚注を書くのと現地の案内人だったから、『京都発見1 地霊鎮魂』(新潮社、1997年)の延長で怨霊が出てきても違和感がない。

さて、この本は楽しい。例えば「吉田神社は、その初めは藤原氏の氏神・春日神社である。それで、吉田神社の前の通りを今でも「春日通」という。」(P44)とあると、地図や事典を出してきて確かめる。英語の本を辞書を片手に読むように読むようなものだが、普段は箱の中で眠っている事典を引っ張り出すのは、せめてもの供養でもある。しかし、調べたところに線が引いてあると、ほとんどは忘てしまうものなのであることを思い出して悲しくなるが、事典を読むことのきっかけをくれた著者に感謝することにする。

西川照子氏があとがきの追伸で、引用文の意訳に当たり横井清先生に原稿を見てもらったと書いてあった。その横井清先生も平成31年4月7日に旅立たれたという。

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