若獅子結成35周年記念公演「国定忠治」を日本橋劇場で観た。「国定忠治」は新国劇の定番である。しかし、「国定忠治」はいつ見たのだろか。通しで見た記憶がない。それもあって、押上文庫の観劇ツアー+飲み会に参加することにした。狭客の親分ものなど今時は流行らないのであろうが、笠原章の国定忠治がカッコいいのである。芝居といものは史実ではないので、情の論理で動いていく。演出という嘘で固めた真実がそこにはある。
第一幕 45分 15分休憩
御用聞きの川田屋惣次(真砂京之助)が登場し、忠治(笠原章)が坂を降りてくる場面から始まる。忠治は白い衣装で貫禄十分である。台詞回しが決まっている。忠治の舅の川田屋惣次が忠治の子分たちを挑発して自ら斬られようとする。緊張感の高い場面が続く。日光の円蔵(林与一)が登場し、義理のしがらみに身動きが取れなくなった忠治等に山を降りて散ることを勧める。いい役である。舞台挨拶では、かつて、川田屋惣次の役を務めたが、台詞が出てこなくて、全ての台詞を覚えている常連の観客から台詞を教えてもらったというエピソードを披露して笑いを誘っていた。
第二幕 信州権堂 54分 10分休憩
山形屋藤蔵とのやり取りが面白く笑わせておきながら、夜の小松原では、待ち伏せていた山形屋一家を黙って斬って去る忠治の殺陣が素晴らしい。提灯の灯りに照らし出される山形屋一家、燃える提灯が消えないうちに斬られて倒れる山形屋一家の者たち。よい演出である。
第三幕 上州植木村の庵室32分 10分休憩
一夜の宿を借りる忠治たちが尼寺から姑の尼に折檻される母子を救い出す。その折に、尼を斬り殺した忠治は病を発してしまう。このあたりに因果の香りがするが、忠治が聞こえるはずのない鐘の音を聞くということで、病気の解釈がされている。
第四幕 国定村分家の土蔵の中
叔父の土蔵に匿われていた忠治たちであったが、隠れ家を発見された。取り方に囲まれた忠治と子分たち。四面楚歌もかくの如き取り方の鬨の声。子分の巌鉄と定八も覚悟を決めて一世一代の大働き。最期の立回りも空しく、二人は倒れてしまう。病で動けない忠治は八州役人(林与一)のお縄を受けるのであった。
1532挨拶終了。
林与一さんが挨拶しているうちに準備が整い、出演者が全員集合で舞台挨拶して幕が降りる。笠原章の跡を継ぐ人は現れるのだろうか。
コメント