神山四郎『NHK市民大学叢書 歴史の探求』日本放送出版協会、1968年
「私は、歴史の本に書かれている事実が実在の事実そのものではなく、実在の事実に近づこうとしながらも、なかなか近づき得ないもどかしさを、むしろ歴史学の本質だと思っている」(P48)。
史料に基づき事実に迫ろうとしても、仮の事実として歴史家の推測したものに過ぎないことがほとんどであろう。歴史は一般化したレベルで記述が可能であるが、個別になると難しい。河内将芳氏は長篠の合戦での武将の動きに興味をお持ちのようだが、個別の情報は得られることが少ない。参加した人数も分からないのである。歴史は全てを記録することはできないし、記述者の関心を超えて記述がなされることもありえない。
歴史の探究は記述するレベルにより限界が自ずと生じる。
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