『漢文の話』(2006)を読む

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吉川幸次郎『漢文の話』ちくま学芸文庫、2006年、2021年第8皐月

(書誌情報)

本書は、1962年筑摩書房のグリーンベルト・シリーズという新書版のための書き下ろし、1986年ちくま文庫、そして2006年にちくま学芸文庫となった。底本は『吉川幸次郎全集』第二巻(1968年)である。解説の興膳宏氏によると「この『漢文の話』は、1962年、学者として円熟期にあった五十八歳の吉川が、漢文に関心を持つ一般読者を対象として書いたものである。いわば最高の手練れによる「漢文入門書」である」(p.277)。

しかし、一般読者も60年という歳月を経て同じではあり得ず。読みやすさを考慮して一部ルビを補っている。

本書は上篇と下篇に分かれており、基礎篇と応用篇である。応用篇は中国語と書き下し文の併記となり、いわゆる返り点送りがなを付加した「漢文」ではない。ハードルが上がった感じがするのは、返り点がある漢文を見慣れているためであろう。

上篇について

漢文の訓読は、一つの学であるので、習得するのに時間がかかるのは当然であるにしても、夏目漱石や森鴎外がどのくらいの時間かけてあのレベルまで到達したのだろうか。

吉川幸次郎は漱石の紀行文の「木屑(ぼくせつ)録」の書き出しを写して解説する。

「余兒時誦唐宋數千言、喜作爲文章(省略)」。

漢文の暗誦が基本にあるとしても、文法的な誤りがないだけでなく、「明治の漢文としてもっともすぐれたものの一つであり、同時の漢学専門家でも、これだけの筆力は普通ではなかったと思われる。高等学校の漢文の教科書に、採録したものがないよしであるのは、ふしぎである」(p.17)。

上篇の訓読法に関しては、おおむね略説であり、詳説ではないと断っている。

小川環樹・西田太一郎『漢文入門』(岩波全書、1957年)が推薦されていた。

私が普段使っているのは、二畳庵主人/加地伸行『漢文法基礎 本当に分かる漢文入門』(講談社学術文庫、2010年)であり、西田太一郎、齋藤希史、田口一郎校訂『漢文の語法』(角川ソフィア文庫、2023年)は難しくて使えてない。

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