『思考訓練の場としての英文解釈(1)』(1973)

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多田正行『思考訓練の場としての英文解釈(1)』育文社、1973年、2009年第35刷
書誌情報
通信添削のオリオン社会員限定本で1973年に刊行されたものを育文社が一般向けに刊行した。
独習書として設計された英文解釈本である。問題を辞書と文法書を駆使して解いてみて、解答例をつかって自己添削する。読物ではない。なにぶん古いし、字がぎっしりと詰まっているので大学受験生向けである。
Twitterでタイムラインに出ることがあり気になっていた。英語解釈本は色々と試しているので、積読になる恐れがあるが、ある晩に思い切ってポチした。届いた本の書き込み状況からすると、早々に挫折したものとみえる。
独習書はそれを手にする者の目的意識がどのようなものであるかによる。学習する目的により学び方は異なる。将棋でいわれたのは、プロを目指すのか、アマチュア県代表を目指すのか、初段を目指するかでは時間とやり方は異なるという。最終目標により学びのコースは違うというのは米長邦雄永世棋聖の考え方である。
誰も最初からプロを目指してはいまい。しかし、目標を定めればそれに到達する手段というものはあってよいように思う。英語学習も目的を明らかにすれば、使う教材が異なると考えるは合理的である。学校は指導者がいて最適なテキストを選ぶやり方で学習するところである。独習書を使わない。
将棋もその局面の最善手を考えるということは、未知なる局面を解釈するということである。英語も未知なる文章を読み、解釈する。正しく読めなければ、将棋は負けるように、英文解釈も失敗する。
正しく解釈する力とは、自らの読みを点検する自己点検の力である。未知なる文章を構文解析の知識で解釈したものが、意味が通り、論理が矛盾なく展開されていれば解釈は誤っていないと推測する。独習するためには、その基礎を固める必要がある。簡単なものから始めて複雑なものにいくのが極めて自然だ。処理プロセスができなければ空回りする。文法は品詞別、機能別に習う。実際の文に当てはめるには、動詞がとれる文型やthatなどの品詞の決定など、文法知識を逆引きで使う必要がある。文法書を引くとはそういうことで、辞書を読むとは語の使われ方の範囲を知ることである。
そもそも、本書は独習書であるが、読み物ではない。取り上げた英文の章毎の観点からの解説があり、次に語句と構文の説明、そして訳例とからなる、章立ては英文を解釈する観点から付けられたものである。自己添削するために必要最低限の情報である。通信添削の経験から書かれたものである。
第1章 因数分解型 STRUCTURE
第2章 名詞化表現の解析
第3章 対照(CONTRAST)と照応(SEQUENCE)

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