山本博文『宮廷政治 江戸城における細川家の生き残り戦略』角川新書、2021年
書誌情報
1993年に読売新聞新聞社より刊行、1996年に講談社文庫、2004年に講談社学術文庫で刊行された『江戸城の宮廷政治』を改題し、復刊した。
はしがきに本書の執筆意図が書いてある。
「本書では、細川忠興・忠利父子の往復書状を中心に、このような外様大名の生き残り戦略について述べていこうと思う」(5頁)。
山本博文氏が『大日本近世史料 細川家史料』の編纂を担当したことがきっかけで本書をまとめることを思い立ったという(370頁)ことが原本あとがきに書いてあった。
タイトルの宮廷政治という用語は「引用したユダヤ系ドイツ人な社会学者ノルベルト・エリアスの『宮廷社会』によったもので、「江戸時代初期の政治はまさにフランス宮廷のイメージそのものだと著者自身が感じていたからである」(374頁)と学術文庫版のあとがきに書いている。
稲葉継陽氏の『細川忠利』(吉川弘文館、2018年)は細川忠利の領国経営が中心であるのに対し、本書は大名同士の外交や幕閣との遣り取りなど宮廷政治を覗く楽しみがある。
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