『「英語が読める」の9割は誤読』(2021)

Goinkyodo通信 読書時間
越前敏弥『「英語が読める」の9割は誤読』ジャパンタイムズ出版、2021年
書誌情報
『この英語訳せない!』ジャパンタイムズ、2019年の続編と云う。前著は読んでないので、なんとも言えないが、本書と前著で一体であると思われるのは語彙をみてもheadがなくてhipがでてくるので、偏りが感じられた。
Chapter1 誤訳しがちな英文
文法知識22、文化的背景の知識18
Chapter2 まだまだある!訳しにくい英語表現
前著で載せられなかった語彙40
Chapter3 翻訳者はつらいよ
文芸翻訳で処理の難しいタイトル、頭韻・脚韻、ダブルミーニング、固有名詞など
文法知識は確認になった。文芸作品はあまり読まないので、連鎖関係(代名)詞節など『英文解体新書』で解説されていた内容の確実な理解が私には有用なことがわかった。
語彙はfingerなどの知っている知識もあれば、deceptivelyなど紛らわしい副詞の話もあって参考になった。語彙は辞書を注意深く当たる必要があることを確認できた。「辞書にかけるお金を手控えすぎると、結局損することになりますから、ある程度の投資は積極的にしてください」(191頁)とあり、電子辞書が薦められていた。置き場の問題もあり、電子辞書が良いのだろうが、iPad miniで電子版の辞書とkindle版の書籍を同時に扱うのは記憶力が弱くなったので、難しい。英文の本は紙よりkindleが安いのでkindle版で読むことになるので、辞書はページを開いたままにできる紙の大辞典を使い続けそうだ。
固有名詞は正しい発音を確かめるのは結構大変な作業で、便利なサイトを使う場合に注意する必要がある。これは英語に限った話ではなくて、芝健介著『ヒトラー』(岩波新書、2021年)では追加の形で「ドイツ関係の人名・地名表記について一言しておきたい」(360頁)と書いていた。日本語でカタカナ表記する場合に何が正しいかは難しい問題であり、アイデンティティに関わることは慎重を期したい。
紙質はあまり良くなく、分厚いせいもあって鞄に入れて毎日持ち運んでいたらページがまとまって千切れてしまった。紙質の悪い本はkindle版で読むことにする。

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