小川剛生『兼好法師 徒然草に記されなかった真実』中公新書、2017年
兼好法師著、小川剛生訳注『新版 徒然草 現代語訳付き』(角川ソフィア文庫、2017年)を読んだ時、兼好法師の出自や経歴について、従来言われてきたことは吉田兼倶による捏造であるとしか書いてなかった。今回の中公新書では一次史料から兼好法師を論じている。現在の学問水準を読者人に分かりやすく説明してくれる点は有難い。作品と作者は一体で読まれることで理解が深まるとしたら、この2冊は兼好法師の読み直しを迫る本である。もっとも、小松英雄の『徒然草抜書』を読んだ者からみれば、不満は残るが仕方がない。
これまでの兼好法師の出自,経歴
京都吉田神社の神官を務めた吉田流卜部氏に生まれた出自
村上源氏一門である堀川家の家司となり、朝廷の神事に奉仕する下級公家の身分
堀川家を外戚とする後二条天皇の六位蔵人に抜擢され、五位の左兵衛佐に昇った経歴
鎌倉幕府・室町幕府の要人と交流した交際圏など(はしがきii)
著者の兼好法師像
卜部兼好(うらべかねよし)、仮名は四郎太郎で無位無官。兼好は俗名で出家後はそのまま法師をつけて呼ばれた。勅撰歌集には六位以下のため兼好法師で入集された。伊勢出身で鎌倉は六浦の金沢流北条氏に事え、京都と鎌倉を往復する。
兼好法師の京都での生活は時間が来たのでまたにする。
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