増田彰久、藤森照信『アール・デコの館 旧朝香宮邸』ちくま文庫、1993年
本書は1984年に三省堂より刊行されたものを1993年にちくま文庫としたものだ。
写真家の増田彰久氏が撮った写真が素晴らしい。建築探偵の藤森照信が文を書いている。
1925年のパリの博覧会でアール・デコが花開いたが、参加した日本の建築潮流にはならなかった。しかし、博覧会に参加しなかったアメリカは摩天楼にも取り入れた。藤森照信氏はアメリカのアール・デコを「鉱物感覚」と表現した。日本における例外として旧朝香宮邸がある。朝香宮がパリ博覧会に行き、アール・デコを取り入れた邸宅を作くるきっかけになった。
本には書いてないが、朝香宮が退去したあと吉田茂が外務大臣別邸として使用した。吉田首相は外相も兼ねていたのだ。その後、プリンスホテルに払い下げられたことは本文で触れている。東京都が1981年に買取り、1983年に東京都庭園美術館として公開されるに至った。
注)『空撮 NEW YORK』で見たクライスラービルディング、エンパイヤ・ステートビルディング、ロックフェラーセンターなどが、アール・デコの摩天楼と言える。
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