大西泰斗氏『英文法をこわす』NHK出版、2020年、kindle版
書誌情報
大西泰斗氏が2003年にNHK出版から出した本をNHK BOOKS化したもの。この後「感覚の英文法」はポール・クリス・マクベイ氏との共著『一億人の英文法』(東進ブックス、2011年)で体系化された。
ここで、「感覚」と「イメージ」の定義を見ていこう。
「「感覚」とは、ある表現に対してネイティブが抱いている感触であり、手触りだ。表現がネイティブの中に惹起する、未分化な心理的実在である。一方「イメージ」は、感覚に対して与えられた人工的な特徴づけだ。学習者に供するためにかたちを与えられ定義された「感覚」であり、この文法体系を紡ぎ出す単位となる。「感覚」と「イメージ」は、生のフィールとそれに付された名前と考えてよい」。
「英語教材オタクの頭の中」というYouTubeで「終章 イメージの見せる世界」が紹介されていたが、この章はBertland RussellのNew Hopes for a Changing Worldの文章をイメージで解説していて圧倒的だった。そこから、最初に戻って読んでみた。
小著であるので体系化されていないが、個々の言葉のイメージについは強烈な印象がある。「mustだけでなく、すべての助動詞の対になった意味をその底に流れる基本イメージから説明することは可能である。おそらくは唯一の正当な学習方法だ」。
文法書は何冊も読んできたが、図解はあってもここまで「感覚」と「イメージ」から説明している本はない。
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