『教養としての歴史問題』(2020)

Goinkyodo通信 読書時間

前川一郎編著、倉橋耕平、呉座勇一、辻田真佐憲『教養としての歴史問題』東洋経済新報社、2020年

『三八式歩兵銃』(2021年)を読み始めて、現代史の読み方の難しさを覚えた。マスメディアを通じて歴史修正主義に曝され続けたため、自分のスタンスを確かめる必要がある。

そんな時に、東洋経済新報社の記事
「日本の近現代史」が歪められるのはなぜか 歴史修正主義に対抗する「国民の物語」が必要」(2020年08月24日)に本の座談会の抜粋が載っていたのをTwitterで知った。興味深かったので、全部読みたくなりAmazonしてしまったが、前川一郎氏の抜粋が的確だったことが分かる。

前川一郎氏がいう本書の三つの切り口ないし論点がこの本のウリだと思う。
①学知が突き刺さらない歴史修正主義の実態を知るところから始める
②現代史の大きな流れに位置付けて、何が〝狙われている〟のかを見極める
③ファクトに基づく「良質な物語」をいかに作るか、ここに未来がかかっている

Kindleは読みたい時に読める。その意味でkindle化するのであれば慌てて買わないで済む。「2020年本の選考」に入っていたので興味を持った本だった。

まず座談会を読む。

第六章【座談会】「日本人」のための「歴史」をどう学び、教えるか

映画『この世界の片隅に』に対して、「あの話は撤退的に被害者の視点で描かれていて、加害のストーリーはまるごとごっそり削除されている」(前川一郎)。

歴史修正主義の浸透はこういうこところにあるのか。

次は、歴史修正主義に対する学知の敗北の物語を読もうと思う。
「第四章「自虐史観」批判と対峙するーー網野善彦の提言を振り返る」(呉座勇一)

注)「日本の近現代史」が歪められるのはなぜか 歴史修正主義に対抗する「国民の物語」が必要」(2020年08月24日)前川一郎

「日本の近現代史」が歪められるのはなぜか
前川:ここからは、もう少し未来の話をしてみたいと思います。歴史学の未来や、歴史教育とどう向き合うかといったことや、学知と社会はどういう関係を構築していけるのかといった問題です。倉橋:いま台湾人研究者…

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