『関口良雄さんを憶う』(2011)

読書時間

尾崎一雄編『関口良雄さんを憶う』(夏葉社、2011年)

夏葉社は『関口良雄さんを憶う』を復刻していた。山王書房の関口良雄著『昔日の客』を夏葉社が復刻したものを読んで、故人の追悼集も読んでみたくなった。北白川の善行堂に立ち寄ったときに72頁の小冊子を手に入れた。

『昔日の客』の登場人物が関口良雄を語る仕組みである。『昔日の客』の「上林暁先生訪問記」で登場する上林暁が「関口君を憶ふ」のなかで関口良雄を語る。次の一句がいい。

美しき天の川見ず十三年

この句は『昔日の客』の「川端康成「名月」の軸」に出てきた。上林暁が病床に仰臥して十三年、枕許の床の間にかけた川端康成の染筆「名月」の軸の下で詠んだ句と思われる。

上林暁の妹さんである徳広睦子氏の「紫式部と雲間草」は小説のような作品だった。上林暁が妹さんに口述筆記させた病床の関口さんへのハガキは次の一句が添えられていた。

高嶺より下界に下りて雲間草

最早や関口さんからは返事は来なかった。

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