『英文法再入門』(2021)

読書時間

澤井康祐『英文法再入門』中公新書、2021年

 

10講からなる英文法講義。取り敢えず飛べるようになるというので期待しました。予備校講師の中公新書は珍しいのではないかと思います。大学の研究者が伊藤和夫を論じた論考を最近読んだばかりでしたので(注)、受験英語に関しては、学術的な検討が足りていないという主張はもちろん理解できます。

 

第1講のオリエンテーションを読むと、本書の狙いが分かります。

 

英語が難しい2つの原因を挙げ、

1.英語が外国語であることに求められる原因

2.教え方に求められる原因

 

上記の原因に対応した真の入門書とするため、

1.英語の特徴を知ることにより問題解決する。

2.学習順序を見直すことで理解を確実にする。

 

文法中心の学習をすることで蓄積された知識を活かして「英会話,英作文,英文読解,英文法,いずれのジャンルの書籍や講座も,上級のもの以外は主体的に取り組むことができる」(P10)状態にする。

 

順番としては、本書を1周したら、もう1周する(さらに、もう1周するとかいうと田中健一氏のように受験生の親にクレームを付けられるかも知れません。)。

その後、英作文、英文読解、英会話とし、並行して英文法に取り組みます。この順序は大切だと思いました。四技能を満遍なく身に付けるのは中学・高校の英語授業時間では無理な話だと思います。本書は英文法中心の学習ですが、新書であるため、全てが網羅されていないことから、英文法書を読むことを勧めていめす。それだけ、英文法書は挫折しやすいのです。私も何冊持っていることでしょうか。どれか一冊にと言われたら、一番分厚い本にするつもりです。

 

第2講義も終わりになって、英語の名詞の可算/不可算の違いが英語を使用する人たちのものの見方の反映にほかならないとした上で、若松英輔氏の『井筒俊彦 叡智の哲学』を引用していました。ロシア語では単数/複数だけではなく、より細かな基準で分類しながら名詞を用いるようです。言語の天才と言われた井筒俊彦を出すのは横道に逸させる気なのでしょうか。著者にその気がなくても、こちらは本を取り出してきて該当箇所を探すために読書をシフトしてしまいました。

 

そういうわけで、第2講義すら読み終えないで、本を閉じることになりました。

 

注)藤村達也「伊藤和夫の「受験英語」教育における「教養主義」: 「構文主義」との関係から」日本英語教育史学会『日本英語教育史研究』第34号、2019年5月

Kyoto University Research Information Repository: 伊藤和夫の「受験英語」教育における「教養主義」:「構文主義」との関係から

 

若松英輔『井筒俊彦 叡智の哲学』(慶應義塾大学出版会、2011年)の引用頁を書いてくれていないので、読み直すことにしました。とにかく、索引のない本や、引用箇所の明示がない本は扱いに困ります。

 

#語学 #英語

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