山口桂『美意識を磨く』平凡社新書、2020年
オークション会社の代表の書いた本です。
この人の父は美術史家、しかし、本人は広告代理店に勤めるサラリーマンでしたが、英語もできないのにクリスティーズに誘われるままに入ってしまいます。大丈夫? と聞きたくなります。
絵を「自分事」として見る話はよく分かります。
展覧会へ行ったら、一部屋毎に自分イチ押しの絵を決めて感想を記し、その絵に戻って再度確認して、追加の感想があったらメモを加える。五部屋あったら、それぞれのイチ押しのランクを付ける。時間とお金に余裕があったら、「ベストファイブ」の感想文を読む。
この鑑賞法は自分の好みを知る上で良い方法だと直観しました。自分がなぜその絵が好きなのかを追求しないと、自分の世界を作れません。
骨董と古美術の違い
「青山二郎という骨董が好きなディレッタントがいた。古陶磁評論家であり、本の装丁をしたり、中国陶磁器のコレクターの委嘱で、二千点にものぼる作品の図録を作成したりしていた。それも二六歳の時というから、早熟の人だったのだろう」(P80)。
「彼ら骨董好きと美術品を扱うわれわれが決定的に違うのは、偽物の扱いである」(P80)。
そして、対極に川端康成をあげています。古美術品のコレクターとして川端康成が所有していたものは後に国宝となりました。
注)山口桂氏はクリスティーズ日本代表です。
故山口桂三郎氏は美術史家で『浮世絵の歴史』(講談社学術文庫、2017年)を山口桂氏は鑑賞力を高める50のリストにあげています。
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