『大元帥 昭和天皇』(2020)

読書時間

山田朗『大元帥 昭和天皇』ちくま学芸文庫、2020年

結局、買ってきた本を読んでいます。薄情なヤツと言われてもしょうがないですね。好奇心が旺盛すぎるのでした。

書誌情報

本書は『大元帥 昭和天皇』(新日本出版社、1994年)の第14刷を定本として、誤記・誤植を修正したとあります。「奏上」(天皇への報告)と「上奏」(天皇の決裁をうける際の提案)を使い分けずに「上奏」のままにしたと「ちくま学芸文庫版あとがき」に書いています。一次史料がそもそも使い分けられていないために、そうしたといいます。2017年以降の著作では使い分けしたと書いていますので、気になっていたのでしょう。

解説は茶谷誠一氏(志學館大学人間関係学部教授)です。明治大学山田ゼミの第一期生にあたるそうです。

本書はどう読まれるべきか

伊藤之雄氏の『昭和天皇伝』(文藝春秋社、2011年)で、天皇の戦争責任に関して、山田朗氏の論に対し注で反論していたのを読んでましたから、今回、ちくま学芸文庫化により山田朗氏の本を読む機会ができましたので、切り取られた断片ではなく、全体として見ていきたいと思います。昭和天皇の生涯を軍事史の専門家が書けば行き届かない点も出てくることは当然考えられます。政治、経済、社会、文化、思想その他の要素を押さえなければ昭和天皇は描けませんでしょうから。

山田朗氏の『昭和天皇の戦争指導』(昭和出版、1990年、絶版)の書き直しが本書に当たります。その後、本書刊行後の「重要史料の分析を盛り込んで、さらには本書では踏み込めなかった問題を加筆し、厳密な出典注をつけた博士学位請求論文『昭和天皇による戦争指導の軍事史的研究』」(P413)を「さらに改訂して『大元帥 昭和天皇』のアカデミックバージョンともいえる『昭和天皇の軍事思想と戦略』(校倉書房、2002年6月)を上梓」(P413)しています。

「まえがき」や「あとがき」を読んで本書の位置が分かり読み方が決まったのでした。

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