古屋哲夫『日中戦争』岩波新書、1985年、1988年第6刷
日中十五年戦争はアジア太平洋戦争の陰に隠れて精算されずに忘れ去られた。我々が戦争というと米英とのアジア太平洋戦争しか思い浮かべない。日本戦歿学生手記編集委員会編『きけわだつみのこえ 日本戦歿学生の手記』(東大協同組合出版部、1949年)を昭和思想史研究会で子安宣邦先生が取り上げた。日中戦争は1931年の柳条湖事件に始まり、1945年の日本の降伏までの足かけ十五年の戦争をいう。中国では十四年抗争という。
読む気になったのは日中戦争の曖昧さと、『きけわだつみのこえ』に載っていた田辺利宏の詩の迫力であった。「雪の夜」「泥濘」「水汲み」そして「夜の春雷」が心に響く。
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