アラン・コルバン、小倉孝誠・中川真知子訳『静寂と沈黙の歴史』藤原書店、2018年
書誌情報
Alain CORBIN “HISTOIRE DU SILENCE
: De la Renaissance à nos jours”
Editions Albin Michel, Paris 2016
訳者を代表して小倉孝誠氏が訳者解説で邦題について述べていた。「フランス語のsilenceには大きく二つの意味がある。言葉を発しない、あるいは言葉を発することを禁じられているという意味での「沈黙」、そして音やざわめきがないという意味での「静寂」。実際コルバンは本書において、この二つの意味でのsilenceを歴史的視点から論じている。大雑把に言えば、第1・2章がおもに静寂を、第3章以降が主として沈黙を論じているが、もちろん両者を含んだうえで叙述が展開さるている場合も多い。日本語で静寂と沈黙は語感がかなり異なるし。一方が他方を包摂することはできない。そこで、原題はsilenceの歴史だが、邦題は静寂と沈黙という二語をあてることにした」(P202)。
手元にあるROYALでsilenceを引いて見ても「沈黙」と「静寂」とある。日本語では「しじま」にあたる。
今まで歴史に馴染まなかったsilenceが歴史として扱われるのを読むと、歴史とは何かという問いに返ってくる。
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