『骨董亦楽』(1988)

読書時間

奈良本辰也『骨董亦楽』芸艸堂、1988年

歴史家の奈良本辰也氏なら何か面白いものをお持ちではないか。自慢の骨董を本にしたと思って買ってみた。何しろ芸艸堂で箱入である。五目堂・北野二三男氏との骨董清談を読んで、古美術商と骨董屋の違いがあることを理解したので、大学教授の古玩趣味のエッセイを読むことで満足することにした。安東次男の骨董道楽とは違い、大村益次郎の教えを守って骨董を楽しんだようだ。骨董の本は元春日大社の権宮司の岡本彰夫氏が奈良の骨董を扱ったエッセイが良かったので、買ってみる気になった。

元より人と骨董談義をするつもりはない。歴史・文化が私の興味の範囲で、知り合いの顔の見える作家の作ったものを使うのが楽しみであって、誰が使ったか分からないものを普段遣いすることはない。茶碗も箸も家族は皆バラバラで、セットというものが皿くらいしかない家庭で育ったので、お客に出すお茶碗くらいしか同じものが揃わない。団子の菓子皿なら、花火のときの人数分くらいはある。今年の都をどりは南座だったのでお茶がなく菓子皿は増えなかったので、収納の問題にならなかった。

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