『落日の豊臣政権 秀吉の憂鬱、不穏な京都』(2016)

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河内将芳『落日の豊臣政権 秀吉の憂鬱、不穏な京都』吉川弘文館、2016年

河内将芳氏が『落日の豊臣政権』を書いた意図がプロローグにある。「すでに慶長年間(1595-1615)の京都に焦点をあわせ、「慶長世相史を「かぶき」の時代と呼」んで、時代の動きをみごとにとらえた守屋毅氏による『「かぶき」の時代』(角川書店、1976年)という書物が知られている。本書は、その守屋氏のひそみにならって、また、守屋氏が検討を加えなかった、慶長よりひとつまえの時代に焦点をしぼって」(P5)、文禄年間といういわば「秀次の京都」の時代の動きをみようというものである。

「桃山の京都」という絢爛豪華な「イメージと実際のできごとのあいだにはかなりのへだたりがあるということを少しでも指摘できればと思う」(P17)。

また、河内将芳氏は横田冬彦氏の「城郭と権威」という論考を取り上げている。

それは、「城下町(大都市)京都の成立」にともなっておきた「さまざまな都市問題」や「民衆の意識を代弁した」「落書や流言」に注目、それとともに、「豪商の文化」ではなく、「対抗的性格」をもつ「民衆の精神世界の可能性を見いだすことにつとめた」(P17-18)ものだという。

河内将芳氏は「ひとにぎりの「豪商」や「町衆」には含まれない人びとの目からみえたものが何だったのか、「桃山の京都」とはまた異なる時代相をつかみとるうえでも重要な視点」(P18)と考えているのである。

先に読んだ『秀吉の大仏』(2008年)が文禄の大地震から始まるので、本書はその前を扱うことになる。

「いつの時代でも、そのような名もなき人びとの思いやふるまいこそが、その時代を反映しているのではないかと考えるからである。地味で、文字どおり光のあたる世界とはいいがたいが、これからもずっとそのような人びとのすがたを追いかけていきたいと思う。敬愛する斯界の先達たちがそうしてきたように」(P192)。

本書にはなぜか章と節の番号がないが、章は4章、それぞれが2節に分かれているとみてよいだろう。前後にプロローグとエピローグがある。

不均衡な経済政策

金くばり

金くばりは豊臣政権が反対給付を求めずに公家や大名に金をくばった話だった。

ならかし

ならかしは奈良借である。金商人が奈良の町人に金を貸付けて法外な利息を取り立てたので、騒ぎになった。徳政が出たという。徳政の「札」が打たれた手力雄社は三条通りにあり、私も何度も通って見ている。どうも豊臣政権が奈良借で集めた金銀を安宅船の用途にする経済政策が背後にあったようだ。文禄の役が始動していたのである(P45-46)。

この不均衡な経済政策を読んでいると、「桃山の京都」の嫌な面が見えてくる。天下統一した豊臣政権の崩壊がすでに始まっているようだ。

#河内将芳 #歴史 #中世史 #京都

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