椎名誠『メコン・黄金水道をゆく』を病院の待合で読む

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椎名誠著『メコン・黄金水道をゆく』(集英社文庫、2008)を妹が入院した病院の待合で読む。

世界には大きくわけて三つの種類の川があると椎名誠氏があとがきに書いている。

①日本の川

②スコットランドの川

③アマゾンやメコン

「メコンの流域にはこの河に生死を委ねている夥しい数の人間がいた。さらに圧倒的にそれ以上の数の動物、魚介類、虫や爬虫類、植物がこの河と一緒に生きている。河の水は全体に茶褐色で、生き物の死体や人間の糞便やゴミなどが大量に流れ込んでいるから見たかんじいかにも荒々しい」。

ガンジス川などもこの分類だろうね。

「メコンやアマゾンは人間のスケールでは手の施しようのない”野放し”の巨大な規模の河で、暴れ川の側面もある」。

「スコットランドで見たスペイ川も茶褐色だったがその色はこのあたりの地層にあるピート(一万年ほど前の草の堆積したもの)の影響である。…。川はそこに住む人々や行政によって上手に管理されている。たとえば農薬を流さないようにこの川は全域にわたって川岸から五百メートル以上離れないと畑を作ってはいけない、という法律がある」。

スコットランドの川がお手本だったらと考えたが、水田と畑は違うな。

「日本の川は細長い日本列島の真ん中に分水嶺があるので流れは急峻で川の長さも短い。ゆえに源流から河口まで短い距離をかなり透き通った水が流れている」。

「しかし、日本の川は世界でも最高の密度といわれるほどの沢山のダムがつくられており、徹底した護岸工事によって自然な流れはいちじるしく歪められている。農薬や産業廃棄物や家電製品などの不法投棄があってケミカル汚染され、ごく上流付近でないかぎりじかに飲める水はなくなっている」。

椎名誠氏はカヌーするので、川に対するこだわりもあるだろうが、川の汚染は悲しい現実だ。

こうしてみると、日本の川は何処かで間違ったのだな。

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