森本公誠『東大寺のなりたち』岩波新書、2018年
東大寺というものを一言で言い表すことは難しい。私は東大寺の歴史をまとめて読んだことはない。雑誌で毎年特集される二月堂のお水取りのことだったり、盧舎那大仏造立の物語だったりする。そういう断片的な知識で私の東大寺は成り立っているから、風が吹けば知識のドネルケバブは吹き飛んでしまう。
森本公誠長老が東大寺の初源に遡って考えたことを書いている。
「著者の脳裏に常にあったのは、東大寺は現代社会においてどのような存在意義があるのかという問いかけであった。むろん未来への志向が前提となる。この点、ここしばらくのところ、東大寺のなりたちを知ることにこそ答えの一端があるのではという思いが強くなった」。
我々は東大寺の始まりを見ることになる。
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