中村俊定校注『芭蕉紀行文集 付 嵯峨日記』岩波文庫、1971年、2005年第44刷
松尾芭蕉の『おくのほそ道』を除いた紀行文集である。凡例によると、漢字は通行の正字体を採用し、かな文字は現行の字体に統一したとある。どおりで読みやすい。
紀行文集は以下からなる。
野ざらし紀行
鹿島詣
笈の小文
更科紀行
嵯峨日記
いずれの題名も芭蕉が命名したという確証のあるものはない。
索引は、人名、地名、発句の索引がある。
相方と話していて東大寺二月堂のお水取りの話になったとき、芭蕉の句が思い出せなくて、野ざらし紀行で読んだ記憶を頼りに本を引っ張りだした。レファレンス本という位置づけである。
発句索引でP21にあることが分かった。
二月堂に籠りて
水とりや氷の僧の沓の男
氷の僧は修二会の厳しさを表し、木の沓(くつ)の音は、録音でしか知らないが、走りでは「さしかけ」が重い音を響かせていた。お松明を二度ほど観に行ったが、局での聴聞はしたことがない。課題を残している。
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