『足利直義 下知、件のごとし』(2016)

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亀田俊和『足利義直 下知、件のごとし』ミネルヴァ書房、2016年

足利直義(あしかが ただよし)の評伝である。笠松宏至「足利直義」(豊田武編『人物・日本の歴史 第5巻 内乱の時代』読売新聞社、1966年)の短編を除き、森茂暁『足利直義ー兄尊氏との対立と理想国家構想』(角川学芸出版、2015年)が初の本格的な評伝である。

著者による評価は「笠松版直義伝記は今読んでも感動的な好論であるが、短編であることもあり、彼の事蹟を網羅的には紹介していない。また公表されたのが1966年で、現代の研究水準から再検討する必要もある。森版は事実上史上初の直義伝記で、仏教を篤く信仰する直義の姿は詳しく描写されているものの、武将・政治家としての彼の事蹟にはなお言及する余地があると思われる。軍事と政治こそが直義の本業であり、やはりこれらを基軸に据えて記述する必要を痛感するのである」(あとがき)。

書評する場合の参考になった。

直義の発給した下文や下知状から直義の本性を知ろうとするしかないのが、歴史研究なのだろう。一次史料の扱いは難しい。

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