東京国立博物館他編『特別展 春日大社 千年の至宝』NHK他、2017年
『特別展 春日大社 千年の至宝』を観た。
春日大社へ奉納し神宝となれば、もう一般の目に触れることができなくなることは、NHKの番組で説明されていた。
展示されていたのは「古神宝」と呼ばれるものである。毎度お馴染みなのは「春日神鹿御正体」(南北朝時代 14世紀 京都細見美術館)であった。細見美術館ではいつも見ていたが、背後を見たことはなかった。
春日権現記絵も以前どこかで見たような気がする。
神仏習合の春日曼荼羅や絵馬も面白かった。
東京国立博物館の土屋貴裕氏は「神に捧げられた宝物を一般に「神宝」と総称し、「しんぽう」「じんぽう」「じんぼう」「かんだから」などと読まれている。こうした神宝のなかには、神の御料(神の使われる御道具、調度)として奉納されたもの、そして後に見ていくような甲冑など、直接的には神の御料とはみなせないものも含まれている。
また、神の御料として奉納された後に、
「撤下(てっか)」された神宝のことを「古神宝」と呼んでいる」(「春日大社 神に捧げられた祈りと美」『特別展 春日大社 千年の至宝』。
そして、国宝の「赤糸縅大鎧(梅鶯飾)」、「赤糸縅大鎧(竹虎雀飾)について、「こうした、豪華かつ、華麗な大鎧は、少なくとも実戦向きとは言いがたく、神の御料としての「神宝」とは言えないものの、やはり神に奉納するべく特別に作られたものとみなされるだろう」とした上で、「余談ながら、春日大社のみならず多くの神社に甲冑が奉納されているが、なぜ甲冑を奉納したのかを明確に示す説は見られない。自らの身体を守る甲冑を形代として、神に自らの身体そのものを捧げ、強い祈りを込めるような心性があったものだろうか」と疑問を投げかけている。
表慶館の紅梅
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