岡本彰夫『大和古物拾遺』ぺりかん社、2010年
春日大社の権宮司であった岡本彰夫氏の大和古物三部作です。さだまさし氏が本の腰帯で「読む玉手箱」として「岡本先生のその玉手箱のような頭脳は日本の財宝である。驚くべき碩学、博識であられる事にも驚くが、そのまなざしに温かい愛が通う。美しき奈良の美しきこの御本は奈良だけでなく日本の宝物だ。」と推薦している。
持った瞬間、ずっしりと重い。いい本だと思った記憶がある。
「三度長者宣」は興福寺別当補任の宣下に先立って出される、藤原氏の氏の長者よりの知らせのことだが、「先年東京の古書店の目録で、バラバラに掲載されたこれらの文書を発見、あわてて掻き集めて奈良へと戻した。」とあるように古物の知識だけでなく、篤い人と思われる。
あとがきに、古物を作った名工も評価は運に左右される。作品や技も識るひとに評価されて初めて供養される。「故にこの本は売るために書いたものでは無く、遺すために書いた本」とあるのも奥ゆかしい。
他の大和古物
『大和古物散策』(2000)
『大和古物漫遊』(2003)
『大和たからもの』(2016)
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