『観察力を磨く』(2016)

読書時間

デザイン思考は色々な定義がある。スタンフォードの定義を見てみる。

i.共感(Empathize)

ii.問題定義(Define)

iii.創造的考察(Ideate)

iv.プロトタイプ(Prototype)

v.検証(Test)

スタートの「共感」については、「観察」といしているものもある。そのくらい「観察力」が「共感」には必要となる。

エイミー・E・ハーマン、岡本由香子訳『観察力を磨く 名画読解』(早川書房、2016年)は美術鑑賞の本だと思ったら大間違い。「知覚の技法」について書かれた本である。

原書はAMY E. HERMAN『VISUAL INTELLIGENCE』(2016)である。副題はSHARPEN YOUR PERCEPTION, CHANGE YOUR LIFEとまさに、「知覚」の力の本である。

本書の構成は、

「観察(Assess)」→「分析(Analyze)」→「伝達(Articurate)」→「応用(Adapt)」とからなる。Aで始まる単語で揃えている。ここでの経験はノンフィクションである。貴重な経験から学ぶことができる。世の中はあらゆるところに、一定の「観察力」と「伝達力」を必要とする業務がある。

著者は大学で美術史を専攻してからロースクールへ行き弁護士となった。その後、ニューヨーク市のフリック・コレクションで教育部門のディレクターとなった。そして、イエール大学医学部の皮膚科学教授から、アートの分析を通じて医大生の診断スキルを上げることはできないかと相談を受けたことがきっかけとなり、アートの分析にのめり込むことになる。

ニューヨーク市警の警察官の観察力と伝達力を高めるためにアートを鑑賞するセミナー「知覚の技法」を開いて14年が経過したという。

本書は、ソーシャルビジネスで出てくるようなディレック・カヨンゴ氏のホテルの石鹸のエピソードなどエピソードが豊富で刺激的であり、読むだけで楽しい。これは著者が様々なところで講演をしてきたことで、観察力やコミュニケーション力が上がったからでもあろう。

我々がものを見て、どのように伝えどう行動するかは、どれだけ正確に見ることができるかにかかってくる。

「観察力」がデザイン思考の最初のプロセスである「共感」のもとになる。「観察力」はビジネスに不可欠な能力と考えられている。

デザイン思考の「共感」=「観察」を深く理解するためにも本書は役立つ。

さあ、「観察力」を磨がこう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました