『異文化理解力』(2015)

読書時間

エリン・メイヤー、田岡恵監訳、樋口武志訳『異文化理解力ーー相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』英知出版、2015年

年越しする前にメモを記録することにした。かつての同僚の推薦本を9月に買って、ソファに置いていたが、付箋が多すぎたので、メモするのが遅くなった。

異なる文化的背景を持つコンサルタントと一緒に行なったプレゼンで感じた息の合わなさを探ることから本書はスタートする。なぜ有能なコンサルタントが、補足的な説明をして欲しい場面で沈黙していたのか?事前打合せが足らなかったからか?

コミュニケーションのやり方として、この中国人コンサルタントはエリンが主役のプレゼンなので沈黙を守っただけだった。エリンが発言を促すのを待っていた。エリンは彼を勝手に割り込んでくれる西洋人と同じと考えてしまい。発言してくれない中国人にイラついていたというわけだ。

ビジネスシーンにおいて色々な人との交流することから見えてくるものがある。漠然としたものかもしれないが、考え方の違いがどこからくるのか分からないまでも、ある傾向については気がつかざるを得ない。

かつてグローバルなプロジェクトに関与した時、関わったコンサルタントを見ているとそれぞれスタイルがあった。性格だと思っていたが、文化的背景があったのだった。

著者はこの違和感の正体をculture mapを使って整理してみせた。本のタイトルであるThe Culture Mapとは、以下の8つの指標からなる。

1.コミュニケーション…ローコンテクスト vs ハイコンテクスト

2.評価…直接的なネガティヴ・フィードバック vs 間接的なネガティヴ・フィードバック

3.説得…原理優先 vs 応用優先

4.リード…平等主義 vs 階層主義

5.決断…合意志向 vs トップダウン方式

6.信頼…タスクベース vs 信頼ベース

7.見解の相違…対立型 vs 対立回避型

8.スケジューリング…直線的な時間 vs 柔軟な時間

本書はこの8つの指標を、8つの章で解説しているので、読んでなるほどと感じれば良いのだと思う。

culture mapは異文化理解のスタートでありgoalではない。なぜなら、そのcultureの中に入れば、同じようなやり方が意識せずに行われていることから、一つの決定や方向性を導く合意されたやり方がある。しかし、同一の文化でない状況では、文化の衝突の結果、無理解や誤解が発生したり、発生していることにすら気がつかない不毛な議論が続いたりする。

読む価値がある本である。

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